日本酒の世界で、「山田錦」は【酒米の王様】として知られています。この特別な米は、まるで高級スポーツカーのエンジンのように、最高品質の日本酒を生み出すための重要な要素となっています。兵庫県を中心に栽培され、その独特の特徴と優れた品質により、多くの有名な日本酒ブランドに使用されています
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日本酒で使われる酒米とは
酒米とは日本酒を造るときに使用する米のことです。なかでも、特に酒造りに適した米のことを「酒造好適米」と呼びます。
「酒造好適米」は、日本酒製造のために特別に開発された米の品種です。一般的な食用米とは異なり、酒米には日本酒造りに適した独特の特徴があります。
酒米の最も顕著な特徴は、米粒の中心にある「心白(しんぱく)」と呼ばれる不透明な部分です。この心白は、麹菌が繁殖しやすい環境を提供し、良質な麹の生成を促進します。また、酒米は一般的な食用米と比較して、以下の特性を持っています。
- タンパク質と脂質の含有量が少ない
- 大粒で、高度な精米に耐えられる
- 吸水性が良く、麹菌の活性化を促進する
これらの特性により、酒米は日本酒造りに理想的な原料となります。タンパク質と脂質が少ないことで、雑味の少ないクリアな味わいの日本酒を生み出すことができます。
酒米の種類は多岐にわたり、農林水産省によると現在約100種類が生産されています。代表的な品種には「山田錦」「五百万石」「雄町」などがあり、それぞれ独自の特徴を持っています
山田錦とはどんな酒米なのか
酒な生産地:兵庫県
栽培困難品種ですが、実力、知名度ともに文句なし。
大粒でたんぱく質含有量が少なく、心白発現率が高く高精米が可能なため、酒造りしやすい品種であり、数多くの銘柄に使用されています。
しっかりとしたボディを持ちながら香りを出しやすく、吟醸向けの酒米。
また、全国で栽培されている山田錦の中でも、兵庫県三木市や加東市にある特A地区産が、山田錦の最高峰とされています。
山田錦の歴史
山田錦の歴史は、日本の酒造業界に革命をもたらした重要な出来事です。1923年、兵庫県立農事試験場で「山田穂」と「短稈渡船」の人工交配が行われ、山田錦の開発が始まりました。
13年の歳月をかけて品種改良が進められ、1936年2月27日に「山田錦」と命名されました。
山田錦の味わい
山田錦を使用した日本酒は、以下のような特徴的な味わいと香りを持ちます。
- 繊細できれいな味わい – タンパク質含有量が少ないため、雑味が少なく透明感のある味わい
- バランスの良さ – 米の旨味や甘みを残しつつ、適度な酸味とのバランスが取れている
- 華やかな香り – 特に吟醸酒や大吟醸酒で顕著な、フルーティーで華やかな香りが特徴
- コクのある味わい – 心白が大きいため、麹菌が米の中心まで入り込みやすく、深みのある味わいを生み出す
山田錦は高精米に適しているため、大吟醸酒などの高級酒に多く使用されます。冷酒で飲むとすっきりとした味わいを、燗酒にすると米の旨味がより引き立ち、なめらかな口当たりを楽しむことができます。その優れた特性から、山田錦を使用した日本酒は鑑評会でも高い評価を受けることが多く、多くの酒蔵で重宝されています
山田錦の精米歩合の影響
山田錦の精米歩合は、日本酒の味わいを決める重要な要素です。精米歩合とは、お米をどれだけ磨いたかを示す数値で、小さいほどよく磨かれていることを意味します。
山田錦を磨くプロセスは、まるでダイヤモンドを磨くようなものです。お米の外側を削れば削るほど、中心部の純粋な部分が露出します。この中心部には、日本酒造りに理想的な成分が凝縮されているのです。
精米歩合が高い(つまり、あまり磨かれていない)山田錦で造られた日本酒は、米の旨味や甘みが豊かで、芳醇な味わいになる傾向があります。これは、お米の外側に残された栄養分が、複雑な味わいを生み出すためです。一方、精米歩合が低い(よく磨かれた)山田錦で造られた日本酒は、より繊細で香り高く、すっきりとした味わいになります。
大吟醸酒などの高級日本酒は、精米歩合50%以下の山田錦を使用することが多く、これにより華やかな香りと透明感のある味わいが実現されます。しかし、精米歩合を下げれば下げるほど良い酒になるわけではありません。むしろ、「不味いお酒にしないために磨く」という考え方が適切です。
適切な精米歩合は、酒造りの目標や山田錦の品質によって変わってきます。山田錦の特性を活かした精米により、様々な個性豊かな日本酒が生まれています。精米歩合は、日本酒のラベルに記載されていることが多いので、次に日本酒を選ぶ際は、この数字にも注目してみてください。それぞれの精米歩合が生み出す味わいの違いを、自分の舌で確かめてみるのも楽しいでしょう。
山田錦の日本酒3選
獺祭 旭酒造
日本酒を飲まない方であっても知っているほど、知名度の高い有名な「獺祭」は、山田錦を100%使用したことでも有名です。
最先端技術を使った酒造りや、2023年9月には、アメリカ・ニューヨーク州に初の海外酒蔵「DASSAI BLUE SAKE BREWERY」を完成させ、この酒蔵では、ニューヨーク州の水と山田錦の米を用いた純米大吟醸「DASSAI BLUE」を生産させるなど、新しい事にチャレンジされています。
ちえびじん 中野酒造
1874年(明治7年)創業。 中野酒造6代目が受け継いだブランド銘柄「智恵美人(ちえびじん)」は、創業時の女将さんの名前が代表銘柄の由来となった日本酒です。
中野酒造が製造する日本酒以外にもリキュールなどもあり、地元の素材を使った商品が人気です。
七本槍 冨田酒造
冨田酒造は460余年続く酒蔵で、銘柄の『七本鎗』は歴史の授業にも出てくる、「賤ヶ岳の合戦」で活躍した7人の若武者「賤ヶ岳の七本槍」が由来です。蔵は江戸末期のもの。蔵には、北大路魯山人が『七本鎗』と彫られた木の看板(魯山人が寄贈)が飾られています。
冨田酒造さんの【七本槍 木ノ環】を飲んでレビューしたよ!
まとめ
いかがだったでしたか?
酒米の王様「山田錦」。
日本酒を飲む際は、銘柄や造りだけではなく酒米の種類にも違いがあることを認識して、飲み分けてみてください。
自分に合った日本酒が見つかるかも知れません。
こだわってみるのもいい経験です!
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